不登校について親が知っておかなくてはならない一番重要な事実とは、
子どもが学校に戻れるのが早ければ早いほど、子どもにとっていいということです。
あいにく、この事実を知ったからといって、親の義務が軽くなるわけではありません。
不登校の子どもはびくびくしているだけではありません。
彼らはパニック状態に陥ることも多く、いくら忍耐強く、合理的に話し合っても、脳裏から消えない学校に対する不合理な恐怖で頭の中がいっぱいになっています。
二つめの事実とは、子どもが怒ったり抵抗するのを恐れて、親のほうが受動的になる傾向にあるということです。
恐らく親自身も子どもと同様に解決できない重大な問題を抱えているので、それ以上子どもを動揺させたくないと考えてしまうのでしょう。
しばしば親もまた、子どもが心に抱いている不安を学校、教師、同級生の責任にしてしまいがちです。
子どもを再び学校に通わせるためには、ある程度、自分の意思で行動しているという意識を子どもが感じられるようにしなくてはいけません。
例えば、教室に戻る予定の日をいつにするか、学校に何時間くらいいる努力をするか、朝学校に行くためにどのような通学手段を利璃するかは子どもに決めさせて下さい。
そうすることで、親子が互いに手を携えているという意識を子どもに与えることがとりわけ重要です。
友達と一緒にいられたり、学校の活動に参加できたりといった、学校に通うことのプラス面について話し合うのが役に立ちます。
子どもが学校に通うように仕向けるためには、両親、家庭、兄弟、大好きなペットの写真をもたせたり、時には朝、両親が家にずっといてあげたりすることが効果的です。
こうすることで子どもはもっと安心感を抱けるようになるでしょう。
子どもが学校に戻る決意をするには、これ親が学校に復帰しようとする子どもの味方であることを、実際に子どもに気づかせることが重要です。
学校に再び通ってくれると親が確信していることを子どもが感じ取れるようにすることが、結局、親を満足させようとする子ども自身の決意が、状況を打破するために必要となります。
親の決意は無意識のうちに子どもにも伝わり、多くの親が考えているよりずっと子どもの立場を変えるのに役立つかもしれません。
抵抗のとりわけ激しい子どもには、セラピストによる個人療法や、親自身のカウンセリングにもつながる家族療法などの治療が必要で、効果的でしょう。
行動療法もよく利用されています。
不登校の子どもを専門に扱っている特殊教育センターを設置した学校に転校させる必要があるかもしれません。
抗うつ剤や軽い精神安定剤のような薬が効果的な場合があります。
不登校の息子さんのいる親御さんの体験談です。
高校生の息子(以後A)が登校していないと担任より連絡があり、寝耳に水で驚きました。私の出勤時間が登校時間より先のため、気付いていなかっただけで、すでに1週間休んでいました。父親が単身赴任のため、2人暮らしです。
高校は公立の文武両道の進学校で、Aは成績上位、運動部に在籍し、毎日ハードながらも、充実した高校生活を送っているとばかり思っていました。Aに確認すると「心配かけたくなかったから登校しているふりしてた。何もやる気がでなくてだめ。なぜ勉強しなくてはならないのかわからなくなった、勉強の意味は何?、もう学校辞めたい、中卒でいい」との言葉にただならぬものを感じ、心療内科を受診しました。診察と面談の結果、主治医からは「心のパワー切れの感じ、軽いうつ状態でしょうか?少し投薬治療しましょう」と言われ、早1ヶ月不登校と週1の通院をしています。私が、勤務先の介護休職制度を利用して側にいようかと思いましたが、Aに「俺の負担になるからやめて」と言われ、ひとりで自宅にいます。しかし、よく寝て、食欲もあり、ゲームして、TVを見て、アニメ本を見て、本も読んで、インターネットで遊ぶTを見ると、登校していないことと、勉強しないだけで、不登校前と何も変わらないのです。薬2種(精神安定剤と軽い抗うつ薬)は、指示通り飲んでいます。